【みなと新聞】資源減少究明に科学のメスを「法制改革の印象」国と温度差
【連載】若手・中堅漁業者に聞く!未来へのホンネ〈1〉

2020.11.30

 1日、改正漁業法が施行される。政府はこれで科学的根拠に基づく漁業管理を強める方針。狙いは魚介の資源を増やし、落ち込んだ漁獲量や漁獲額を回復させることだ。本紙は、未来を担う若手・中堅漁業者の反応をアンケートとインタビューを通じ調査。「現時点で科学に対する信頼度は低いが、資源の減った原因の科学的な究明が求められている」「漁業管理の強化を求める声がある一方、過去の管理での苦い経験を思い出し不安がる声も多い」「漁業への好影響を目指す改革の意図が全く正しく伝わっていない」ことが見えてきた。若手・中堅漁業者に未来へのホンネを連載で紹介する。

 本紙は9~10月、主要都道府県の漁協系統などに漁業や資源の将来ついて、極力多様な考え方の漁業者にアンケート回答を依頼した。アンケート対象は10年後も漁業を続ける意思を持つ漁獲漁業者。長崎、岩手、山口、鹿児島、三重、愛媛、沖縄、福岡、宮城、静岡、大分、福井、富山から計50人の回答を得た。

 アンケート結果の概要は次の通り。

アンケート依頼対象 | スマート水産業を漁業者のために | MarineManager(マリンマネージャー)

資源量の科学評価に改善を

 「自身の主力漁法について感じる問題」として「問題を感じる」または「とても問題を感じる」との回答が最も多かったのは、「魚介が以前のように獲れない」(回答率87%)。2位の「魚介の価格が安い」(76%)を10ポイント超上回った。

 以前のように獲れないとした人に原因を問う質問で「そう思う」「とてもそう思う」の回答率が高かったのは、資源の減少(89%)と分布域の変化(76%)。資源減の原因の質問では、水温や海流(91%)が最多で、続いて汚染や栄養量などの変化(61%)、獲り過ぎ(54%)が挙がった。

 科学的に調べた資源量や増減について「ある程度信用できる」「信用できる」との回答は30%に対し、「あまり信用できない」「信用できない」は44%だった。ただ、政府の科学的な漁獲制限に協力する条件として「魚介が減ったり増えたりする理由を解明する」に86%の回答者が「必要」「とても必要」と答えた。

 政府に取り組んでほしい施策を順位付けする質問で、最も平均スコア(1位=8点、2位=7点…8位=1点)が高かったのは「水産物の販売促進・飲食業の需要喚起」で6・9点。続いて「漁業経営安定対策」が5・8点、「資源調査・評価の充実」が4・66点、漁船リース事業など「漁業の競争力の強化」が4・16点と続いた。

 環境要因などでの資源減少は回答者の共通認識と言えそうだ。また現状の資源評価に信頼度は高くないが、資源が減った原因究明へのニーズが高いという結果だった。

自身の主力漁業・魚種について、以下のような問題をどの程度感じますか | スマート水産業を漁業者のために | MarineManager(マリンマネージャー)

多かった改革への不安

 漁業者の悩みである資源減について、政府は改革で解決を狙う。にもかかわらず回答者の44%は水産改革の存在自体を知らなかった。改革を知っていると答えた28人に印象を問うと、政府の意図に合う効果として「資源が回復する」が21%、「漁業者がもうかる」が4%、「漁村が活性化する」が7%。一方、不安視するような印象として「大規模な漁業者が得をして小規模な漁業者が損をする」が57%、「成果が出るまでに時間がかかる」が46%、「漁業規制が厳しくなって漁業者の収入がしばらく減る」が43%だった。改革への政府への意図と漁業者の印象の間に乖離(かいり)が見られた。

 改革についての情報源は「漁協・漁連」が最多の54%。続いて「政府・水産庁」39%、「新聞・雑誌・書籍」29%だった。

 アンケート回答者のうち11人にはインタビューも実施。対象者は、改革に積極的な意見と慎重な意見の両方が含まれ、かつ漁法が多様化するよう努めた。これらを踏まえ、次回から漁業者の声を届けていく。

改革のイメージとして当てはまるものすべてにチェックをしてください。改革について聞いたことがないと答えた方は⑧をチェックしてください。 | スマート水産業を漁業者のために | MarineManager(マリンマネージャー)

[みなと新聞 2020年11月30日 18時20分配信] https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/