【みなと新聞】IT「目利き」の最新技術も
書評「フグ食の科学」酒井治己水大名誉教授編著

2021.4.16

 水産研究・教育機構水産大学校(山口県下関市)の酒井治己名誉教授が編著した「フグ食の科学」。フグにまつわる自然科学、水産科学、社会科学について、21人の執筆者が幅広い研究成果と知見を記した一冊だ。生物研究社刊で200ページ。希望者に無料配布(配送料は着払い)する。水産大学校内山口連携室(〒759・6595 同市永田本町2の7の1)宛てに氏名、所属、入手希望理由、送付先住所と電話番号を記載した書面を封書で郵送する。

プラットフォーム(PF)構想で描くシナリオ

 同書は、同校を中核とする産学官の共同事業体「下関のフグ共同研究機構」が実施した、下関の「ふく」の差別化と輸出拡大のためのIT利用「目利き」技術の開発(革新的技術開発・緊急展開事業、2016~18年度)の成果を中心に取りまとめた。「コンピューターのフグ目利き」をつくる研究として、スマートフォンで撮影したフグの体模様の画像を専用アプリで種判別する事例を紹介。純粋種のみならず近年増えている交雑種の判別への利用を目指すもので、人工知能(AI)の深層学習によってより精度の高い判別モデルが得られる可能性にも言及している。身欠きフグに関しても画像と色彩から種判別や品質・鮮度評価を可能とするシステムの研究開発を紹介している。

 この他、毒魚でもあるフグの生理生態から資源管理、養殖技術、フグ処理者免許の全国統一、フグ食の文化・魅力まで盛りだくさんの内容を収録。編著者の酒井氏は、遺伝子解析技術で分かった有毒部が不明なトラフグ属の雑種を鑑別する技術レベルの向上や、大きく減少した天然資源の増養殖技術開発などの必要性を説くとともに、「本書がフグ関係者や学生、消費者らに読まれ、フグ食文化の継承に貢献できれば幸い」と願いを託す。

[みなと新聞2021年04月16日18時20分配信]
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