【みなと新聞】水産庁案35%増2602億円
22年度概算要求 資源や補償、漁船更新厚く

2021.8.26


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水産庁は26日、東京都内の自民党本部であった同党水産部会・水産総合調査会合同会議で、来年度予算の概算要求の案を示した。総額で2021年度当初比35%増の2602億円を要求する方針。情報通信技術(ICT)などを生かすスマート水産業の実現やそれによる資源管理の充実、漁業者の減収を補填(ほてん)する積立ぷらす事業の積み増し、脱炭素を掲げての漁船更新などに予算増を狙うとし、党の了承を得た。

 財務省は来年度の予算折衝に当たり、各省庁に裁量的経費を原則今年度当初比で1割削るよう指示。ただし各省庁に対して、削った経費の3倍までの金額まで、デジタル化やグリーン(環境保全)などの「新たな成長推進」に関わる予算を上乗せした(実質的に予算を2割増やす)形の要求を認める。デジタルや環境など、将来の社会の成長のための予算を重んじる格好だ。

 増額に上限があるため、本来であれば水産庁予算要求は2300億円程度までだが、今回は農水省内の他部局からの融通調整で、2602億円の要求が可能となった。

 要求案の1本目の柱が資源回復に向けた「新たな資源管理システムと漁業経営安定対策の着実な実施」。ICTを生かして資源などのデータを集めるスマート水産業部門に21年度当初比4倍超増の26億円、その他資源調査・評価の拡充に15%増の98億円、漁業者の自主的資源管理に科学的根拠と透明性を付加する資源管理協定や法定の漁獲可能量(TAC)管理を後押しする予算も25%増の10億円を求める。資源管理や不漁、新型コロナウイルス禍なども含めた漁業者の減収を補填するため、積立ぷらす事業には2・3倍の450億円を要求する。

 2本目の柱は「不漁の長期化や環境変化の中での成長産業化に向けた重点的な支援」。うち、漁船更新事業は燃油・二酸化炭素の使用量削減を打ち出すことで増額を狙っており、沿岸漁業への漁船漁具のリース事業に12・5倍の50億円、漁業構造改革総合対策事業(もうかる漁業)には5・3倍の100億円を求める。

 3本目の柱「競争力のある加工・流通構造の確立と水産物の需要喚起」では、加工流通業を含めた商品開発・需要喚起など水産物バリューチェーンの生産性向上に2・2倍の13億円を要求。その他、漁港漁場整備の公共事業や外国漁船による違法操業の取り締まり、藻場保全を含む水産多面的機能の発揮などにも予算増を求める方針だ。

 会合で大日本水産会の白須敏朗会長は「要望をしっかり反映いただいた」と感謝しつつ、積立ぷらすやもうかる漁業への積極的な予算配分を要請した。JF全漁連の岸宏会長は「補正予算を含め、ぜひ3000億円の確保を」と訴え、特に漁船リース事業への予算を要求。また「(福島第1原発)アルプス処理水(放出)への断固反対は変わらない。(処理水関係予算がかさむことで)水産予算に影響がないように」と強調した。


[みなと新聞2021年8月26日 18時20分配信]
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