水産庁は陸上養殖の実態調査をまとめた調査結果を24日、公表した。全国各地で新規参入が進む陸上養殖は漁業権を必要としないため水産庁の統計対象外でこれまで実態が不明だったが、今回初めて国が調査結果を公表した。
国内は391事業者
調査によると、2021年の陸上養殖の推定生産量は2356トン。国内に存在確認した陸上養殖事業者数は391事業者で養殖魚種は延べ496種。生産量10トン未満が7割、従業員数10人以下の小規模事業者8割と大半だった。外資2社が閉鎖循環式陸上養殖(RAS)による大規模なアトランティックサーモン養殖の参入計画が進むが、国内の多くの陸上養殖事業者は小規模事業と分かった。
事業者のうち陸上で海水養殖を行う288者(延べ364種)を対象に、151者(177種)にアンケートを配布し調査を実施した。回答者数は75者(90種)と撤退した6者(8種)で調査対象候補の28%にとどまった。調査によると10年以降、新規参入が増加。21年は7者が参入し、17~21年の5年間で36者が参入した。
21年の生産種別推定生産量はヒラメ=670トン(占有率29%)▽ニジマス551トン(23%)▽クルマエビ=449トン(19%)▽トラフグ=334トン(14%)▽ウミブドウ=215トン(9%)▽その他=137トン(6%)。
海水養殖151者の魚種別内訳はクルマエビ=35者(20%)▽トラフグ=28者(16%)▽ヒラメ28者(16%)▽海藻類=15者(8%)▽サケ・マス類=15者(8%)▽アワビ類=12者(7%)▽ウニ類=11者(6%)▽その他=33者(19%)だった。
生産量10トン未満の事業者が最も多く全体の66%を占めた。次いで10~50トンが19%。100トン以上は6者(トラウト1、トラフグ1、ヒラメ2、クルマエビ1、ウミブドウ1)で8%だった。従業員数は10人以下が8割を占めた。事業所(養殖生産施設)と本社所在地は基本的に同位置にある。
魚類、貝類、甲殻類の生産方式は約6割がかけ流し式、約4割が閉鎖循環式だった。排水は7割が直接排水、3割が施設内処理だった。
陸上養殖実態調査はマリノフォーラム21に委託して実施した。今年度も調査中で今後、結果を毎年度ごとに更新する計画。水産庁栽培養殖課は「対象事業者に書面とオンライン形式で回答いただいている。陸上養殖事業者に調査の周知を進め回答率の向上につなげたい」と話す。
[みなと新聞2022年6月28日18時20分配信]
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/
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