漁業者が過去の操業記録を分かりやすく手軽に残し共有できるよう、日本事務器(東京都渋谷区)は23日にサービス「MARINE MANAGER +reC.(略称・プラスレック)」を正式リリースした。サービス利用者のスマートフォン上には海図が表示され、海図の上にその海域の特徴や注意点を写真や数字データを添えて書き込んだり、日々の操業データを記録したりして、ビッグデータとしてクラウド上に蓄積できる。漁業者が秘密にしたい情報は、一部のユーザー同士だけの間で共有することも可能だ。
サービスは漁協単位の契約を想定。利用する漁業者は、水温や潮流など気になる項目の数値を日々クラウド上に蓄積しておき、後で手軽に見返すことが可能。これを生かし、例えば海図上に色を付けて「この漁場では、このくらいの水温の時にこの魚種が獲れやすい」と書き残したり、写真ファイルを添え「この岩の周りでは急潮に注意」と書き込んだりできる。
その日ごとの魚群の動きなど、漁業者の“気付いたこと”も記しておけて、どれも後から手軽に見返せるため、漁業者の持つ“経験と勘”を漏れなく可視化し、必要に応じて共有できる。機械になじみのない漁業者でも使いこなせるよう、操作性の良さや画面の分かりやすさを意識している。
北海道の一部のサケ定置網では先行利用し、漁場のセンサー付きブイから得た表・中・底層それぞれの海水温や流向・流速のデータを蓄積。漁船に付けた高性能魚探でサケがどれだけ来遊しているかも推定し、さらに船上の漁業者が目測した漁獲量速報と、市場での確定値を同サービス上で連携している。
これらにより、どの深さの海水温がどの程度のときに漁獲が伸びるか、漁獲量報告で漁業者の感覚と実際の値にどの程度の誤差があるのかを分析しようとしている。現時点でも、魚探により漁業者が出漁前から流向・流速を把握し、過去のデータと比較することで、出漁前に網おこしをできるか否か判断しやすくなり、コスト削減に役立っている。
サービス利用料は利用者数と機能・サービス内容によるものの、月2万5000円から。今後3年で2万ライセンスの販売を目指している。
▼問合先=日本事務器バーチカルソリューション企画部/和泉氏・増元氏(メールアドレスmmplusrec-support-gr@njc.co.jp)
[みなと新聞2022年8月26日18時20分配信]
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