北海道は秋漁の大詰めを迎え、年末商戦に向けた製品製造と出荷、来年の原料確保と一年で最も忙しい時期を迎えている。
▼たびたび報じているが、秋サケが久しぶりの好漁だ。水揚量5万トン以下の歴史的な不漁が3年続いたが、今年の水揚量は8万トン前後に達しそう
▼2016年(7万5400トン)の水準を回復してきそうだが、当時の記事の見出しは「24年ぶりの凶漁」。1992年7万7000トン以来の低迷であった
▼これを境に増産に転じ、2003年に史上最多20万6000トンを記録する。10年代半ばまで10万トン以上が続いた。今年を「豊漁」と報じるメディアもあるが、筆者の物差しでは「好漁」止まりだ
▼今期は加工処理能力の低下が露呈し、9月下旬から10月上旬の盛漁期に浜値が暴落。加工業者の減少と人手不足、輸送トラックの減少などで原魚の受け手や配送手段が限られ、「近年は1日当たり2000トン程度の水揚げで浜値が大きく下落する」(生産関係者)
▼かつての好漁期は休漁明けの1日3000~5000トンは当たり前でそれが続いた。過去にも“パンク”することはあっても今ほど陸(おか)の能力は脆弱(ぜいじゃく)でなかった。漁業と加工は“両輪”。地方の過疎や産業維持に絡む難題で、水産業の成長産業化のためにも打開策が必要だ。(秋)
[みなと新聞2022年10月26日18時20分配信]
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