みなと新聞

【みなと新聞】青森ホタテ養殖復活へ 記録的な不漁、打開向け団結を『青森県産養殖ホタテ特集』

2026.09.03

 青森県陸奥湾におけるホタテ養殖の継続性に赤信号がともっている。昨秋の異常高水温で昨春に採取した稚貝、一昨年産の新貝、成貝の大量へい死が発生。青森ホタテの主力となる半成貝(ベビーホタテ)の今年度産が大幅減産となっただけでなく、再生産の土台となる親貝(成貝)も大きく数を減らしたため、今春の種苗採取も不振で来年以降の再生産にも大きな影響を残している。ここ数年、慢性的な親貝不足が指摘されてきたが、内包していたリスクが、一気に現実的となった形だ。むつ湾漁業振興会は「陸奥湾のホタテ養殖継続には同湾産の親貝確保が不可欠」と成貝の生産と親貝確保の指導を徹底するとともに、全湾で団結した一体的な対策の必要性を説く。この他、湾内各漁協では緊急的に北海道からの稚貝移入や陸上施設での採苗実験、全量成貝生産などに取り組む。メーカー各社は主力の半成貝が少ない中で冷凍ベビーボイル製品だけでなく、調味や油調を含めた高次加工品の開発にも力を入れる。青森ホタテの売り先の確保へ-。生産・加工・流通の動向を追った。

 2025年度の青森ホタテ累計共販実績は24年度比34%減の約1万9766トンとなり、陸奥湾ホタテ養殖が本格化する以前の1977年度以来の2万トンを下回る大減産となった。主力の半成貝は22%減の約1万6800トン。平均単価は73%高のキロ425円だった。初入札(25年3月28日)で過去最高値となる312円で発進し、4回目入札まで右肩上がりに伸長。最終5回目でようやく相場は反落したが、それでも462円と記録的高値を維持した。24、25年度と2期にわたり、陸奥湾で発生した異常高水温による大量へい死や成育不順の影響を色濃く反映した。成貝は24年度比64%減の2945トン、平均単価が65%高のキロ517円。品目別でみると、耳づりが66%減の2117トン、かごが59%減の788トンと大幅に減産している。

 26年度以降の生産ベースとなる25年度春のラーバ(幼生)採苗はほぼ計画通りの数量を確保でき、3年ぶりの生産回復が期待されていたものの、昨夏から秋にかけて陸奥湾内の水温が過去に例がないほど高く推移。25年産の稚貝をはじめ、親貝を含めた成貝も大量へい死した。

 昨夏の高水温が過去最長で、特に水温が高かった東湾地区の被害が広がった。青森市の油川などは未分散貝のへい死率が100%に上り、最大産地の平内町管内は親貝になり得る新貝が65・9%、半成貝や新貝となる稚貝が77%、横浜町やむつ市管内が99・9%となった。

 卵を産む親貝(23~24年産貝)の保有枚数は前年比90・8%減の677万枚に減少。県の陸奥湾ホタテガイ総合戦略では養殖ホタテの安定生産に必要な親貝の保有枚数は1億4000万枚と定めているが、その5%ほどしか湾内に残らなかった。

 まさに「稚貝も親貝もない」(産地関係者)状況下で26年度の半成貝入札がスタートした。毎年、4月1日の水揚げスタート前の3月下旬に1回目の入札が行われるのが通例だが、十分に成長した貝が少なく1回目の入札会を中止するという異例の事態となった。実質、初入札となった第2回入札会が4月20日に実施され、前年2回目入札と比べ76%減の110トンが上場し、平均浜値は22%安のキロ300円を付けた。その後3回目にキロ279円と前回に比べて21円下落。浜ごとに成育の違いが顕著で、サイズ感に応じて成約価格が300~165円と広がったため。4回目も253円、5回目が245円と下落が続いた。成育の差が依然として大きかったこと、昨年の高値の製品在庫を抱えていることから慎重な入札となったことが影響した。

M、S主体の小型組成

 サイズはM、Sが7割で全体的に昨年よりも一回り小さい。基準貝に満たないサイズの貝も地域によっては多かったようだ。4月から7月末までの累計水揚量は前年同期比56%減の約7300トンで計画水揚量を23%下回った。浜値は42%安のキロ平均249円と記録的な高相場だった前期から下落したが、依然として高値を維持した。

 上場量が伸び悩んだため、県漁連は全5回の入札後も漁協から申請があれば追加で入札を実施する措置を講じていた。ただ、7月に半成貝の上場はなく、一部で相対取引のみ行われたとみられる。6月末から累計水揚量は800トンほど増加したが、入札の開催には至らなかった。

 冷凍ベビーボイル製品の価格は1キロ2500~2300円。3000円台だった昨年のヒネ在庫の価格が2500~2300円台に見直しされ、停滞気味だった荷動きが解消されつつある。流通サイドからは年内にヒネ在庫が消化できる見込みとの声もあり、年明けから新物の本格流通が始まるとみられる。ただ、製品数は極端に少なく、来年の新物シーズンまでに在庫が払底する可能性がある。

[みなと新聞2026年8月27日17時50分配信]
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/

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