みなと新聞

【みなと新聞】日本事務器 環境データで漁獲量予測 【連載】スマート化が開く水産の未来〈12〉

2020.10.28

みなと新聞に、弊社 事業戦略本部・和泉シニアマーケッターのインタビュー記事が掲載されました。スマート水産業の現況や見通し、弊社の取り組みについて紹介しております。

日本事務器(東京都渋谷区)事業戦略本部バーチカルソリューション企画部の和泉雅博シニアマーケッター

 

情報通信技術(ICT)など新しい技術を生かし持続的に成長できる「スマート水産業」。その先駆事例を紹介するのが本連載だ。12回目の今回は、情報システムサービス大手の日本事務器(東京都渋谷区)事業戦略本部バーチカルソリューション企画部の和泉雅博シニアマーケッターに話を聞いた。

スマート化で、水産業はどう良くなるか

政府の会議で北海道大学宮下和士教授らが定義したように、スマート水産業は「ICT、IoT(モノのインターネット)等の先端技術の活用により、水産資源の持続的利用と水産業の産業としての持続的成長の両立を実現する次世代の水産業」。さらに言うと、先端技術を生かし、変化の中をしなやかに生き抜く力(レジリエンス)を高めた水産業と考えている。
今、水産業は変化への対応に追われている。不漁が起きたり、環境条件や獲れる魚種が変わったり、漁具の技術進歩と老朽化が進行したりだ。変化やその原因を捉えるには、①漁場②漁具(船を含む)③資源のデータが必要になる。多面的なデータを少ない手間で集めて整理するために、ICT化が第一歩となる。
好例は、はこだて未来大学の和田雅昭教授が北海道留萌市でナマコ漁船にICT機器を導入した事例。漁船の動きや漁獲量を記録し、このデータから資源量を評価する。それが「ナマコ資源が減った」という認識の共有や、漁獲枠の設定、資源回復につながった。
こうした好循環を生むため、漁業者だけでなく自治体、研究者、漁協が一体となり持続的にデータを集め分析することが重要だ。

スマート水産に、自社の技術はどう貢献できるか

データを集めるための基盤、データの分析結果など必要な情報を漁業者へ届ける体制、届いた情報によって漁業現場の変革を推進する体制、いずれにも整備が必要。漁業者が利用しやすい、人間中心設計のサービスを心掛け開発している。
基盤というのは、機器やソフトのこと。漁業者が簡単に使えるような操作性はもちろん、スマートフォンを持たない漁業者が多いならフィーチャー・フォン(いわゆるガラ携)のEメールで使える情報を提供する、すでに漁協の持っているソフトを活用する―など、漁業現場に合わせた基盤の設計を意識する。
漁業現場に情報を届けるときは、分かりやすい形にするのが大切。複雑なグラフを出さずに重要なデータだけを絞り込んだシンプルな図を示すなどだ。
データを変革につなげるには、どのデータに着目すべきかを知る必要がある。例えば「定置網漁期のどの深さの水温が魚群の来遊に影響しやすい。海水温がどのような状況のときに揚網すれば漁獲が上がりやすい」という感じで着目点を絞るべく情報を蓄積している。
代表例が北海道斜里町で実証中のサケ定置網のICT活用。漁場のセンサーで流向、流速、表中底層の海水温を集め、さらに漁船につけた高性能魚探でサケがどれだけ来遊しているか推定する。漁獲量も、船上の漁業者が手軽に陸に速報できるアプリと、市場での確定値を把握するシステムを連動して把握。蓄積したデータで「どのような環境条件の時に漁獲が伸びるか」「漁獲量報告で漁業者の感覚と実際の値にどの程度の誤差があるのか」を分析している。
多様な情報を蓄積する事により、資源や漁業の変化への「気づき」を生み、漁業のレジリアンスを高めたい。

競合他社と比べた強みは

「常に変われる体質でいる」意識がある。常に最新の技術を取り入れて多面的なデータを利活用するだけでなく、技術を漁業現場で利活用しやすいようにアレンジもする姿勢だ。
また、1960年代から北海道で漁業協同組合様の事務管理業務を一元管理できるトータル情報システムを請け負ってきた経験から、漁業者、漁協との結びつきも強い。研究者や行政も含め、多様な関係者とスマート水産業を「共創」する体制は、当社の特徴だろう。

 

[みなと新聞 2020年10月27日 18時20分配信] https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/

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