9月末になり、ホタテガイの主産地北海道オホーツク海で、漁が終盤に向かいつつあります。今回は北海道ホタテガイ漁業・養殖業の概要を解説していきたいと思います。

ホタテガイの日本国内生産量を最も網羅的に集計しているのは、農水省の漁業・養殖業生産統計でしょう。集計期間は暦年。民間統計に比べると公表のタイミングは遅いのですが、日本全国の生産量を過去にさかのぼって都道府県別に調べるのに便利です。
それによると、2020年のホタテガイ全国生産量は49万7000トン。うち、北海道が40万9300トンで、82%を占めました。漁業による「漁獲量」と養殖による「収獲量」の合計です。同統計をみる場合、漁業と養殖を足し合わせなければ、全体の生産量が見えない点に注意が必要です。
全国の漁獲量は34万6000トンで、うち、北海道は34万5400トン。100%に近いシェアを握っています。全国の養殖収獲量は15万1000トンで、うち北海道は6万3900トン。北海道のシェアは42%で、青森県の8万200トンに次ぐ全国2位でした。
ここで北海道のホタテガイ生産について、漁業と養殖の違いを簡単に説明させていただきます。漁業は、稚貝を海に撒(ま)き、海底で2〜4年間成長させて漁獲する方法です。北海道のオホーツク海沿岸が圧倒的な大産地で、根室海峡でも生産があります。
漁獲物は「天然物」と呼ばれることもあり、オホーツク海では、貝柱だけを取り出して非加熱で凍結した「玉冷」、貝柱を乾燥させた干し貝柱などに加工されます。同海域の盛漁期は初夏から秋にかけてです。
続いて養殖です。北海道では南部の噴火湾(内浦湾)が圧倒的な最大産地です。稚貝をロープに付けたり、かごに入れたりして、海中で1〜2年かけて成長させます。餌を与えて育てるわけではありませんが、「養殖物」などと呼ばれます。
噴火湾のホタテガイは冬から春にかけて短期間に集中的に水揚げされることが多く、主にひもや卵(らん)が付いたまま加熱・凍結した「ボイルホタテ」に加工されてきました。マーケットは日本国内です。
同湾では、ホタテガイを殻付きのまま非加熱で凍結した「冷凍両貝(または単に両貝)」の生産も盛んです。用途はもっぱら輸出向け。中国で殻むき、加水処理された玉冷が米国へ再輸出されます。ちなみに冷凍両貝はオホーツク沿岸でも生産されています。
以上のようにホタテガイの盛漁期は天然物と養殖物で異なるため、北海道漁連などの業界関係者はオホーツク海の天然物水揚量を4月〜翌年3月、噴火湾の加工貝水揚量を10月〜翌年5月の期間で集計しています。
それによると、オホーツク海の20年度(20年4月〜21年3月)水揚量は33万3735トン。2年度連続で30万トンの大台を維持しました。21年度は30万2000トンの計画。3年連続豊漁の見通しです。
噴火湾の20年度(20年10月〜21年5月)の加工貝水揚量は4万7908トン(前年度比38%増)が確定しました。生産自体は比較的順調です。
ホタテガイの生産動向をビジネスベースで把握するには、北海道や東北の関係各漁連の集計データが有用です。集計期間は4月から翌年3月に統一してあります。関係漁連のまとめによると、20年度(20年4月〜21年3月)の水揚量は「北海道天然」「北海道養殖」「東北3県成貝」「青森半成貝」のトータルで51万2467トン(前年度比6%増)でした。
うち、北海道はオホーツク海を主体とする道内天然が36万2934トン、噴火湾中心の道内養殖が6万7009トンでした。道内トータルは42万9943トン。6年ぶりに40万トンの大台に乗りました。21年度の道内水揚げ計画は39万7700トン。前年度実績を8%下回るものの、高水準の予想です。
生産自体は順調ですが、今年は輸出主導で価格形成され、冬場の需要期を前にして国内販売には厳しい環境のようです。当社が大手水産会社のマルハニチロに取材したこちらの記事が今年の販売動向を伝えています。
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/e-minato/articles/116015
(2021年9月15日配信「マルハニチロ 玉冷、輸出軸に国内は回転寿司」)
みなと新聞は本紙9月16日付(電子版9月15日配信)で北海道ホタテ特集を刊行。上記のマルハニチロの記事を含め、生産、加工、卸売、小売、外食に関する情報を網羅していますので、よろしければお読みください。
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/e-minato/articles/116066
(2021年9月15日配信「【特集】北海道ホタテの価値訴求」)
[みなと新聞2021年9月30日 7時3分頃 配信]
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/
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