政府は23日、2023年度当初の水産関係予算案について、前年度比9億円減の1919億円、今年度補正と合わせた合算では7億円増の3208億円とすることを閣議決定した。資源調査・評価の予算などを前年に続き削減したが、物価高騰を補填(ほてん)するセーフティーネット事業が大規模に積み増され、漁船リース事業の拡充などもあり、総額が増えた。漁業者の操業を収益性のある格好に転換するための予算づくりも意識した。
資源調査・評価は減額
ロシアのウクライナ侵攻などによる物価高や全国的な不漁を受け「(燃油や養殖飼料の高騰を補填する)セーフティーネット事業、(漁業者の減収を補填する)積立ぷらす(漁業収入安定対策)にお金を割いた」(水産庁漁政課)。補正当初合算で、セーフティーネットは前回の107億円から348億円に大幅増。積立ぷらすはコロナ禍で大量の資金が必要だった前年度(794億円)より減ったものの582億円を計上した。
各種資材類などの価格も上がっていることから、漁船リース事業や省エネ機器などの導入の助成上限額を引き上げた。
当初予算分の「資源調査・評価の充実」は72億円から68億円に削減。ただし「現状の調査を続けるために必要な額は確保できた」と同課。現状、資源評価の確実性不足は漁業団体などからTAC(漁獲可能量)規制強化などへの反論の根拠として挙がるが、予算協議の段階で、資源評価予算の減額について「漁業団体から特段の反対はなかった」(同)という。
前年の予算折衝では、漁業者の減収補填が目玉となったが、今後は減収自体がなくなり黒字化が進むよう「事業の転換を意識」(同)。採算性の高い大規模な養殖場や、気候変動に対応した多目的漁船などの導入を支える「もうかる漁業(漁業構造改革総合対策事業)」は当初補正合算で前年の85億円から減ったものの83億円を確保。養殖の人工種苗開発や新たな餌の開発・導入などを進める「養殖業の構造転換対策」は当初予算で2億円から3億円に増額、さらに補正で新規の内容に8億円をつけた。
公共の水産基盤整備事業は当初補正合算で前年の957億円から959億円に増えた。今後、複数の近隣漁港をセットで「圏域」と捉え、漁港ごとで流通拠点や出漁準備場、観光利用など役割を分担する構想で、役割分担のため各地域の自治体や漁協などで行う方針策定にも必要なお金を支援できるようにする。また、国でなく地方自治体が管轄する護岸や漁港浄化などの漁港環境整備施設についても、同事業で老朽化の対策予算を出していくとした。
[みなと新聞2022年12月24日17時50分配信]
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