みなと新聞

【みなと新聞】水産庁 養殖保護で指針策定 3月中に公表 “職人の勘”も知財対象

2023.02.17

 水産庁は養殖業の優良系統と養殖生産のノウハウの保護のため、種苗生産者や養殖業者向けに優良系統保護に関するガイドラインを取りまとめる。水産養殖業の育種や生産のノウハウは従来でも知的財産権が行使でき、知財として現行法の保護の対象だが、水産庁が養殖関連事業者向けに分かりやすくガイドラインとしてまとめ、3月中にも公表する。

 ガイドラインは①優良系統の保護②営業秘密の保護-の2項目を策定する。「優良系統保護」は人工種苗や選抜育種により育種された水産物の保護が目的で、主にブリやマダイ、ウナギを想定する。ブリとマダイの養殖実態は主に日本で、ウナギの育種は今後の課題だが、完全養殖技術は日本のみが保有している。

 「営業秘密」には“職人の腕や勘”と呼ばれる通常は明文化されていない給餌などの生産ノウハウも保護の対象になる。ガイドラインでは生産方法や営業の情報を明文化してマル秘マークを付ける、施錠するなど「秘密」として管理されている場合に知財として保護対象になる、など分かりやすい具体例を示す。

 水産業や食品産業の知的財産は育成者権や特許権、遺伝資源などがあり、現行法では種苗法や特許法、不正競争防止法などで保護対象になる。

 国は養殖魚の輸出拡大を目標に掲げており、今後懸念される養殖魚の優良系統種苗の海外への流出を防ぐ目的がある。農業分野では日本特有のあまおう(イチゴ)やシャインマスカットなどの優良品種が海外に流出し、既に中国や韓国で作付けが拡大するなど被害が出ている。

 水産庁は「水産分野では優良系統の流出は現状では起きていない」とする。水産庁は未然に養殖魚の優良品種の流出を防止するためにガイドラインを策定し、各生産地の浜回りを通じて直接説明するなど周知と理解を進める方針だ。

[みなと新聞2023年2月16日18時20分配信]
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/

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