【北海道】北海道オホーツク地区でホタテガイの稚貝放流のために前年度の残存貝を獲って漁場を整備する漁場造成が、8日の枝幸漁協を皮切りに各漁協で始まった。2023年度(23年4月~24年3月)のオホーツクのホタテ水揚計画(漁場造成、養殖物含む)は、北部(宗谷―枝幸)、南部(雄武―ウトロ)の両地区ともに前年度実績を下回るものの、31万2615トン(前年度比6%減)と、5年連続で30万トン台の大型供給となる。
北部は7%減の12万5800トンで、宗谷、猿払村、頓別の3単協が減産計画。16%減の3万7000トンと減産幅の大きい猿払村漁協は「5年前に大量の天然貝が発生した際、減産覚悟で稚貝放流数を減らした漁場。例年であれば、約2億5000万~2億6000万粒を放流するが、約8200万粒しか放流しなかった」と説明する。
南部は5%減の18万6800トンで、雄武、沙留、紋別、湧別の4単協が減産見込み。湧別は18%減の3万トンで「昨年8月の資源調査で枚数的に前年よりも少なかった。また、前年度からの残存貝も少ない」。紋別漁協は17%減の3万4000トンで「前年度は漁場造成で上積みし、4万トンを超えたが、過去に4万トンを超えたのは2回くらいしかない。今年度が通常レベル」。一方、8%増の4万7600トンを計画している常呂漁協は「今年度水揚げするC海区は元々、優良な漁場」という。
原貝の潤沢な水揚げが見込まれる一方、冷凍貝柱(玉冷)、冷凍原料貝(冷凍両貝)を中心とした加工品の流通が注目されている。昨年は米国の減産と円安の急進に伴い海外需要が増加し、冷凍ホタテ(殻付きとむき身の合計)の輸出量・額ともに過去最高を更新。しかし、玉冷は相場高騰で国内市場が縮小したとの見方が大勢だ。
23年は、米国の生産が引き続き低水準の見込みながらも、「物価高の影響で海外需要が減退している」(商社筋)と言われており、東京電力福島第1原発の多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の海洋放出で「中、韓向け輸出が停滞しかねない」との懸念も。商社筋は「輸出だけでなく、内販も再意識した相場形成が必要」と指摘する。
[みなと新聞2023年3月28日18時20分配信]
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/
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