みなと新聞

【みなと新聞】マルハニチロ 「細胞性水産物」事業化へ 業界初「漁網to漁網リサイクル」も『SDGs特集/各企業の取り込み』

2023.12.14

 マルハニチロ(池見賢社長)は中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」において、「価値創造経営」の実践に向け、サステナビリティ戦略を推進する方針を掲げている。

 持続可能な“次世代の魚タンパク”供給体制の確立を目指し、推進しているのが魚類の細胞培養技術による「細胞性水産物」事業化への取り組みだ。2021年に国内先進企業と共同研究開発を始めたのに続き、今年8月にはシンガポールに本社を置くバイオテクノロジー企業ウマミ・バイオワークス社と協業契約を締結したと発表した。研究開発体制の拡大充実と早期事業化への歩みを加速している。

 循環型漁業を目指す取り組みも進む。同月、グループ会社の大洋エーアンドエフ(東京都中央区)と東レ(同)、日東製網(同港区)が進める「漁網to漁網リサイクル」の取り組みを拡大すると発表。従来、漁網製造時に発生する端材や工程くずなどをナイロン原糸の原料の一部にして漁網にしてきたが、新たに使用済みの漁網(廃棄漁網)を活用した漁網の製造・リサイクルの取り組みを追加。業界初の試みとなる。

 環境問題への対応ではSeaBOSでのタスクフォース「海洋プラスチック汚染への対応」の一環として、初めてマルハニチロ、ニッスイ、極洋の大手水産会社3社合同で海岸のクリーンアップ活動を実施した。7月に千葉市の稲毛海浜公園内の「いなげの浜」で行い、当日は3社社長、従業員とその家族合計201人が参加。池見社長は「海をきれいにして水産資源を守っていくことはわれわれの使命だと考えている。こういった活動が世界で広がっていくように皆さんと一緒に頑張っていきたい」と呼びかけた。

 持続可能な調達に向けた水産資源保全の取り組みでは、第2回となる「水産資源調査」の結果を9月に統合報告書で公表した。21年度を対象年度に調査したもので、マルハニチログループ全体の取り扱い実績は原魚換算で約170万トンとなった。同社グループは2030年のありたい姿として「取扱水産資源について、資源枯渇リスクがないことを確認している」とする重要目標達成指標(KGI)を掲げている。定期的な調査実施、課題の抽出と改善のサイクルを回し、ありたい姿の実現を目指していく。

 食品ロス削減の取り組みでは、10月に消費者庁と環境省が実施する「令和5年度食品ロス削減推進表彰」で、「消費者庁長官賞」を受賞した。マルハニチロ、物流業者、フードバンクかながわの3者連携により、冷凍食品の持続的で効率的な寄付スキームを構築。輸入冷凍食品の抜き取り検査後の端数品などを必要とする人々へ届けるもので、業界大手が取り組むことによる他社への波及効果と将来性、冷凍食品の寄付という先進性が評価されたという。

[みなと新聞2023年12月13日18時20分配信]
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/

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