政府は22日、2024年度当初の水産関係予算について、前年度比10億円減の1909億円とする内容で閣議決定した。今年度補正と合算した総額は3170億円で、6年連続の3000億円超ながら前年同期の3208億円からは減額。新規としてICT(情報通信技術)などを水産業に活用するための「スマート化のための伴走者の育成等」に2億円、加工流通業者向きに機器導入などを行う「持続可能な加工流通システム推進」に6億円がつき、既存の水産基盤整備事業(公共)や漁協系統組織の経営強化・基盤強化、外国漁船の監視などの予算も増えたが、資源評価・調査予算などが削減となった。
資源調査・評価 3年連続で減少
資源調査・評価の予算は、老朽化した調査船の更新予算が補正予算で措置されたものの、当初予算については前年同期比9億円減の57億円。調査・評価自体に使える金額は3年連続で減った。水産庁は、調査インフラの充実やデータのデジタル化・調査の省力化などが進んでいることを説明し「額よりも内容を見てほしい」とした。
新規の予算としては、スマート化が各地でのICT活用など伴走者となる人材の育成、必要な機器導入といった内容。「年によって変動する補正ではなく、当初に位置付けて予算としての根をつくった」(同庁)
持続可能な加工流通システム推進は従来あったバリューチェーン事業(23年度5億円)をリニューアルした内容で、機器導入の支援の幅が広がるなどしている。
漁協系統の経営基盤強化は1億円増の3億円。「不漁等による経営悪化に対応するための計画実施に必要な長期資金調達を支援できるようにしている」(同庁)
同じく1億円増で730億円となった水産基盤整備事業は「財務省から公共の重要性に理解をいただいた(同庁)
外国漁船などへの漁業取締・密漁監視体制の強化は3億円増でデジタル庁の分を含め159億円。
セーフティーネット補正増
燃油代や養殖飼料の高騰分を支援するセーフティーネット事業は当初が前年と同額の18億円ながら物価高騰を反映して補正が36億円増の366億円。漁業構造改革総合対策事業(もうかる漁業)は当初予算が2億円減の11億円ながら、補正が前年同額の70億円。
沿岸漁船などを更新する漁船リース事業と漁業者の減収を補填(ほてん)する収入安定対策事業(積立ぷらす)は、ともに当初予算が前年同額。両事業とも補正の措置は前年を下回ったが、背景に「前年予算で必要額を一定額プールできていた」(同庁)点がある。
[みなと新聞2023年12月22日18時20分配信]
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