政府は11日、2023年度水産白書を閣議決定した。特集の「海業による漁村の活性化」で漁業の多角化や6次産業化などによる経営安定の可能性を説明する。これまで東日本大震災について記載していた章に、福島第1原発からのALPS処理水海洋放出を巡る動きと能登半島地震を含めて「大規模災害」としてまとめる他、気候変動の影響や資源管理の新たなロードマップなど最新の動向を説明している。
白書は冒頭に特集を据え、以降の章で23年度の水産動向を記載する構成。特集では水産政策審議会での「海業はまだ一般的でない」という意見などを踏まえ、漁業生産量や消費の減少などの現状からはじめ、海業の定義・意義を詳細に記述した。この上で、各地の先行事例や推進のために使える支援事業やパッケージの紹介で実用性のある内容としている。
23年度動向では1章に水産物需給など消費者にもなじみのある話題、2章でより水産業界に近い漁業・養殖業の経営動向や流通加工、スマート化などに触れる。3章は水産資源管理や藻場保全、密漁対策。気候変動対策や今年3月公表の「資源管理の推進のための新たなロードマップ」など最新動向を伝える。
4章は国際情勢で、世界の生産・消費状況や資源管理、漁業において日本と利益相反の可能性がある近隣諸国との関係や捕鯨業についても記述する。5章はALPS処理水海洋放出後の禁輸やトリチウムなど放射性物質のモニタリング状況までを東日本大震災関連の動向としてまとめ、今年1月の能登半島地震も被害状況を報告する。
白書の最後では今年度に実施する水産施策を説明。みどりの食料システム戦略やカーボンニュートラルへの対応、生態系の維持など持続性に配慮した施策を盛り込んだ。
[みなと新聞2024年6月11日18時10分配信]
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