ソフトバンク(東京都港区)は現在、魚の鮮度やうま味の測定手法の確立に向けた「品質規格標準化プロジェクト」を進めている。将来的には全ての魚種について規格づくりと測定方法の確立を行い、品質規格標準化を進め、流通拡大による水産業の活性化につなげていくとしており、魚の価値向上や消費拡大に向けて注目される取り組みだ。
人工知能(AI)などのデータ技術を生かしていくもので、同事業は愛媛県デジタル実装加速化プロジェクト・トライアングルエヒメの2023年度事業に採択。赤坂水産(愛媛県西予市)、愛媛県産業技術研究所、フィード・ワン、ライドオンエクスプレスでコンソーシアムを構成する。
ソフトバンクは、ハンディな分光センサー(NIRセンサー)を用いたリアルタイムでの鮮度、うま味成分の測定のための機械学習と指標づくりを担当。養殖マダイを対象に、魚の締め方(4種類)、部位、冷凍までの日付、冷凍温度、冷凍期間による違いについて検証している。
締め方については、NIRセンサーで測定した結果、精度80%で違いが分かるようになっている。測定を重ねるほど精度は向上する。現在はラボテストとNIRセンサーの測定、官能テストの「3つのひもづけを行っている真っ最中」(ソフトバンクIT&アーキテクト本部アドバンスドテクノロジー推進室の石若裕子氏)という。
官能テストでは年度内に評価軸を5軸に絞り、さらに精査していく方針。魚に関しては東西での好みの違いもある。「どういう評価基準をつくったら品質の違いが消費者に分かりやすく表現できるか」(同)、開発を進めている。
評価軸を定めることで「星取表で自分の好みがこうだと消費者が自分自身で理解し、それに近い魚を買ってきてもらうと好みのものが手に入る」(同)とイメージの一端を説明する。将来的には、焼き魚や煮魚など、料理に合った魚を選ぶことも可能になるという。
研究を進める一方、「社会実装しないと意味がない」(須田和人・同室長)とも強調。研究成果を公表しながら、生産、流通、加工分野などの意見を集め「スタンダード化される仕組みづくりに一緒に取り組みたい」(同)と意気込む。
評価軸に関し、消費者に届けるものと、生産・流通加工などの段階で必要なパラメーターが違うのではとも指摘。派生していく可能性を示唆する。
「データとして見えた上で、勘や経験などをプラスアルファすることでより正確になったり、もっと違う新しい価値が出せるのでは」「今のものが置き換わるというよりも今の人たちの価値がもっと上がるとよいと思う」(同)と語る。
[みなと新聞2024年10月30日18時10分配信]
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