【広島】広島県漁連(米田輝隆会長)が運営するサーマルリサイクル施設(広島市西区草津港1の26)がこのほど完成した。カキ養殖で使用した発泡スチロール製のフロートを圧縮してペレット化し、県が所有する特殊ボイラーの燃料に再利用する。産官連携で使用済み漁業系プラスチックの新たな有効利用を進め、海洋保全・環境に配慮した持続的なカキ養殖の一助とする狙い。
全国一のカキ養殖産地の広島県は約1万台のいかだを使い、1台につき30~35個の発泡フロートを取り付けて海面に浮かべている。フロートは5~10年で劣化が進み、推定で年間約3万個が処分対象となっている。また、カルチ式のカキ垂下連では、針金を通したコレクター(カキ種を付着させたホタテガイ貝殻)の間隔を保つためにプラスチック製パイプが用いられているが、総数は2億~3億個に及び、経年劣化や海洋流出もあり多くが処分されている。
こうした漁業系プラスチックの再利用に関しては、汚れなどの理由でこれまで見送られてきたが、持続可能な水産業を進めるため、今回、生産者自らが再資源化することを決意。瀬戸内4県(岡山、広島、香川、愛媛)と日本財団による包括的海洋ごみ対策事業「瀬戸内オーシャンズX」などの支援を受けて施設竣工に至った。
再資源化の装置はエルコム(札幌市)のステララインとクダックラインを導入。フロートは最大40分の1に圧縮してペレット化し、パイプは破砕してチップに加工する。加工後は県内水産施設の特殊ボイラーの燃料として再利用する計画だ。施設の処理能力はフロートで1日(8時間稼働)当たり100~120個を想定。11月20日に試験運転が公開された。本格稼働は来年6月ごろからの見通し。
[みなと新聞2024年11月21日18時10分配信]
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