【青森】青森県陸奥湾で生産する養殖ホタテについて、県産業技術センター水産総合研究所(水総研、平内町)が、養殖施設を下層に沈めたまま動かさないよう生産者に呼び掛けている。例年と比較して水温が高く、体力を消耗した状態で動かすとへい死や異常貝の発生率を高める恐れがあるため。「ホタテガイ養殖管理情報(第5号)」で公表した。
玉付けや掃除、へい死確認なども行わないよう呼び掛けている。9月に入っても高水温が続いているため、稚貝分散の開始時期は例年より遅くなると見通す。
同湾は夏から平年を大幅に上回る高水温が続いている。湾内3カ所(平舘、青森、東湾)に設置した海況自動観測ブイで15メートル層と30メートル層の水温を調査したところ、1月~9月10日までの日平均水温が25、26度を超えた日数が過去最も多かったことが分かった。
水総研によると、ホタテの新貝と成貝は20度で成長が鈍り、以降は中腸腺(ウロ)や貝柱のエネルギーを使う。24~25度で成長が止まり、26度を超えるとへい死の危険性が高まる。稚貝は23度以上で成長が鈍り24~25度でへい死に至る。
3カ所の中層水温の推移をみると、6月下旬~7月上旬に平年を上回るペースで伸長。平年より半月ほど早い7月15日までに20度台に達した。水温がピークを迎える8月下旬~9月中旬は平年23度前後のところ、今年は26度台に到達。9月も水温は大きく下げず、直近15日時点の平均水温は25度台だった。
記録的な高水温の背景には「気温の高まりや津軽暖流の流入など複合的な要因が考えられる」と水総研。湾内のホタテへの影響は毎年11月に行う秋季実態調査で明らかにする。11月に向け平均気温は平年より依然高いままの兆しがあり、水総研は引き続き生産者に注意を呼び掛ける。
ホタテ稚貝の採苗状況は今年、これまで大幅に付着数が落ち込んでいた西湾が持ち直すなど近年としては比較的良好な状況を示していた。この高水温を耐え、来年以降の水揚げにつなげられるか産地関係者は強い関心で見守っている。
[みなと新聞2025年9月19日17時50分配信]
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