【宮城】宮城産生食用むき身カキがシーズン入りした。JFみやぎ(宮城県石巻市)は27日、石巻市で初入札会を開催。前年の初入札(10月28日)と比較し29%増の6・6トンが上場した。平均単価は3%安の10キロ4万960円。初入札が県の指針より約1カ月遅れるのは3年連続で、2022年の初入札と比べ42%高の相場を形成した。
県が指針とする出荷解禁日(9月29日)より1カ月遅い実施。県内各浜の処理場からむき身のカキが運び込まれ、買受人が品質を確認しつつ入札価格を決めた。
仕上がりを確かめた複数の買受人は「浜ごとにばらつきはある」と前置きした上で「小型メインだった昨年の初入札よりは粒サイズが全体的に上向いた。卵の抜けは遅れがある」といい、「今後のさらなる水温低下に期待したい」と話す。夏場の高水温によるへい死は昨年より少なく、上場量増につながった。
1日の品質検査会では県内34の処理場からサンプルを搬入。粒サイズは中~中小が約6割を占めていた。ロープ1本当たりのへい死率は30%以下が9割ほど。いずれも昨年の品質検査より良好な結果だった。卵持ちの割合は約7割の産地でサンプルの過半数を占め、放卵の遅れが指摘されていた。
県漁協本所かき部会の阿部輝喜部会長は「初入札を遅らせたことで自信を持って出荷できるカキに仕上がった」と手応えを話す。自身も生産を手掛ける2年子のカキについては「9月に一部へい死が出たが、昨年ほどの規模ではなかった」と振り返る。
高相場形成の主な要因は直近2年の生産不振を受け、加工業者などからの引き合いが強かったため。広島や岡山など西日本産地の不作も影響した。買受人は「もう少し値を下げることを期待していた」と正直な思いを口にしつつ、「仕入れを厳選したり売り方を変えたりして売り先の確保に努めたい」と力を込める。
ロシア・カムチャツカ半島沖の地震で津波被害を受けた気仙沼・大島地区のカキについては多くが独自の販売ルートに乗るため、共販への影響は限定的とみられる。同漁協は今シーズン(9月~来年6月)の生食用むき身カキ共販数量を前期実績比14%増の830トンと計画する。

[みなと新聞2025年10月28日17時50分配信]
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