みなと新聞

【みなと新聞】IFFO年次会合総括 養殖10年で20%増産へ 世界の魚粉需給動向【漁業・養殖】

2025.11.17

 水産原料の国際貿易組織、国際魚粉魚油機構(IFFO、本部・ロンドン)は10月20~22日にヒルトン東京(東京都新宿区)で年次会合を開き、各国の主要な魚粉・魚油生産者や認証プログラムの代表ら46カ国518人が参加した。IFFOの会員企業は世界の魚粉供給の約5割、魚油の約7割を担う。同会合の東京での開催は初。3日間にわたり養殖飼料原料に関するさまざまな講演やセッションを開いた。IFFO年次会合の主要トピックを紹介する。

 初日に登壇した国連食糧農業機関(FAO)のマヌエル・バランジ水産・養殖局長は「2010~23年の海洋性タンパク質の消費量は年率2・25%と他のタンパク質に比べ最も増加率が高く、人口増加率の2倍に相当する」と指摘。「拡大する需要に応えるために養殖業は24年以降の10年間で20%の成長が求められる。変革しながら養殖事業を継続するには『ブルー・トランスフォーメーション』が重要」と呼び掛けた。

 2日目は商社の兼松がローカルスポンサーを務め「ジャパンデー」を開催。日本特有の都市残渣(ざんさ)由来魚粉や、北海道産マイワシの資源管理を紹介し、国際認証に向けて理解の醸成を求めた。また国内で初めて大規模な閉鎖循環式陸上養殖システム(RAS)によるアトランティックサーモン養殖を行うプロキシマーの伊藤良仁副社長が同社の事業を紹介した。

 【日本国内】


 兼松穀物飼料部副原料課の近藤光氏が日本国内の魚粉・魚油の消費動向を概観した。

 24年の日本国内の魚粉需要量は34万8446トンでうち国産が51%の17万7388トン、輸入が49%の17万1058トン。消費は水産養殖向けが72%の25万トンと大半を占める。需要量は25年に33万トン、26年に38万トンと拡大を予測する。

 輸入魚粉の約3割がペルーとチリの南米産。輸入魚粉は25年15万5000トン、26年19万トンと予測する。

 24年の日本国内の魚油需要量は約8万トンで、うち国産は6万4000トン。総需要のうち、飼料向けが71%の5万7000トン、輸出用が20%の1万6000トンだった。

 ニッスイの更谷洋介水産事業第三部油飼課長は国内の魚粉・魚油について供給面から分析した。

 日本国内の養魚用飼料に占める魚粉の割合は39・2%で減少傾向にある。国内輸入魚粉は高タンパク原料として需要がありペルーとチリが主な供給国だが、円安と不安定な漁獲により近年はインドとオマーン産の輸入が増加する。

 国産魚粉の原料は、ラウンドが25万5377トン、都市・加工残渣由来原料が55万6780トン。国内の魚粉工場数は45で、24年の生産量は17万7388トン、うち輸出は3021トン。生産スペックはCP(粗タンパク質含有率)55~65%。

 魚油は24年8万5500トンのうち、都市残渣由来が51%、道東が主産地のマイワシ原油は23%、輸入が19%を占める。

 魚粉原料となる国内道東マイワシ漁についてや、ウナギ飼料に高い粘着性が必要でロットごとに粘着性テストを行い、低ヒスタミン・高鮮度の魚粉が粘りが強くなる点など、日本特有の条件についても紹介した。

 【世界】
 IFFO市場調査マネージャーのエンリコ・バキス氏が世界の魚粉・魚油の動向を説明した。

 2024年の世界の魚粉輸出量は前年比9%増の375万1000トンで、首位のペルーは82%増の98万1900トンと世界総生産量の27%を占めた。

 また24年の世界の魚粉輸入量は7%増の407万2000トンで、最大輸入国の中国は19%増の196万5000トンと世界総輸入量の48%を占めた。

 世界の魚粉消費の91%が水産養殖用飼料。魚種別では25%が甲殻類、22%が海水魚、20%が淡水魚、15%がサケ・マス類、7%がカメ・カエル、6%がウナギ、5%がテラピア-と続く。またプレミアムペットフード向けの魚粉消費量は24年27万トンと推計する。

 魚油は、24年の世界の輸出量5%減の97万3000トン。輸入量は11%減の95万5000トンで、最大輸入国はノルウェーで7%減の18万トンと19%を占めた。魚油使用の63%が養殖用で、人間の直接消費は17%、その他(ペットフードやバイオ燃料、動物飼料)は20%を占める。人間の直接消費は年間約20万トンで、23~24年に2%伸長した。

[みなと新聞2025年11月13日17時50分配信]
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/

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