防止や種子の保護へ
JFマリンバンクへの相談機能が効果を発揮した事例の一つに沖縄県久米島漁協での藻場再生活動がある。

同漁協の水揚額の3割を占めるモズクだが、数年前と比べ減少傾向。天然物はピーク時の2018年に271トンあった水揚量が22年に0となった。大きな原因と考えられているのが、モズクが生える土台になるアマモ類(リュウキュウスガモなど)が近隣海域で減少したこと。さらに、海草などを食べていた生物は、残された養殖モズクなどに殺到し、食害を始めてしまっている。
養殖モズクは地元漁業者の冬場の生計を支えるが、「4~5年前から食害が増え、年間売り上げの3分の1、100万円ほどを失うようになった」(同漁協モズク生産部会の宇江城颯弥部会長)。
![]() |
![]() |
いであ(株)写真提供
立ち上がったのが、現場と密にコミュニケーションをとるJFマリンバンクだった。九州信漁連沖縄統括支店の浦崎政伸常務は、藻場回復などに役立つ各種助成金や人脈を紹介。助成金申請のための事務作業などを担った。「日頃から漁村に出向くよう努めており、県内全漁協の組合長を知っている。助成金には、使える件数が限られるものもあるが、組合長と参事が積極的で体制が充実した久米島なら有効活用できると考えて勧めた」(浦崎常務)。同漁協の譜久里長徳参事も「モズク部会35人の漁業者は組織力が高く、潜水作業などに協力的」と胸を張る。
助成で進んだのが、食害生物から藻場を守るための防護ネットの設置や、食害魚の間引き、弱ったアマモ類を退避させるための水槽の設置などの取り組み。防護ネット内部は「アマモ類が守られている」(浦崎常務)状態で、漁業者からも歓迎の声がある。間引きも「作業後数カ月間は効果が出ている」(田端裕二組合長)。

近海で弱っていたアマモ類を水槽内に退避させ、増やした上で自然界に再移植する構想もある。「リュウキュウスガモ(近海に育つアマモの種類)は他のアマモ類と比べ、あまり種をつけない。これを飼育で増やすことができないかと」(譜久里参事)。技術的な難易度が高く道半ばだが、今後の技術発展に期待がかかる。
海草・海藻が減った原因について、漁業者からは、気候変動によって台風の動きが変わって沿岸部の泥が流出するなど底質が変化し、海草が根付きづらくなっていることなど指摘がある。地域内からは、水温の変化や海の栄養塩の減少、新しい橋ができたことによる海流の変化、藻類の漂着の減少など多様な仮説が挙がる。
田端組合長は、「子や孫を考えながら資源管理しなければ」と未来志向を強調。漁業のあり方について「時代に合わせた対応を、九州信漁連の手を借りて進めたい」と前を向いている。
JFマリンバンクは久米島の前に、同県伊江島での海草回復をサポートした経験も持つ。ここでも、琉球大の専門家と漁協系統関係者の面会をセッティングするなど、人脈面や事務作業面などでの活躍が光った。
解明できていないことも多い海洋環境の変化だが、そこに対応し漁業と漁村を未来につなぐべく、漁業者とマリンバンクの必死の努力が続く。
[みなと新聞2026年3月17日17時50分配信]
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/
+reC. (プラスレック)がよくわかる
資料を無料でお配りしています
資料ダウンロード

