みなと新聞

【みなと新聞】可視化進むブルーカーボン 裾野拡大へ支援と漁業者協力『全国海藻特集』

2026.05.12

 海藻養殖を巡り、環境価値への評価が急速に高まっている。海藻が生育する藻場は、光合成によって二酸化炭素を吸収・固定する「ブルーカーボン」の担い手として注目され、カーボンニュートラルの実現に資する取り組みとして位置付けられている。

 国内ではジャパンブルーエコノミー技術研究組合のJブルークレジット制度の活用が進み、海藻養殖に由来する吸収量の認証取得を目指す産地が増えてきた。

 具体的な動きが各地で広がりを見せている。これらはいずれもJブルークレジットの認証を受けた実例であり、海藻養殖の環境価値が客観的に評価され始めていることを示すものだ。

 モズク養殖では、「沖縄県うるま市で挑むモズクの天然採苗と海藻保全による未来の漁業」が2025年1月に初認証。産地における先行的な取り組みとして位置付けられる。これに続き、「海藻養殖で久米島の豊かな海を守るプロジェクト」と「石垣島ブルーカーボンプロジェクト(オキナワモズク)」が同年12月に認証された。藻場保全と養殖を一体化した取り組みが、具体的な吸収量として評価された。

 ワカメ養殖では、今年2月に「糸島ブルーカーボンプロジェクト」が認証。コンブ養殖では、藻場の創出・保全活動を柱とする「北海道ふくしま町“青×蒼”プロジェクト」が24年2月に認証クレジット量369・9トンを取得。海域環境の回復と養殖の持続性向上を両立させる取り組みとして、規模の大きさが際立つ。

 クレジット量は現時点では限定的ではあるものの、制度としての枠組みは着実に整いつつあり、今後の拡大と市場への波及が期待される。各産地の取り組みは自治体や企業、研究機関などが連携する「官民学」による推進体制で進められるケースが多い。

 一方で、ブルーカーボン量の算定には調査やモニタリングなどに相応の費用と人手を要し、特に漁業者の協力が不可欠となる。負担の大きさが普及のハードルとなっているのが実情だ。

 クレジット収入が直ちに漁業者の手取り増加に大きく寄与する段階にはなく、収益面での効果は限定的といえる。取り組みの裾野を広げていくには調査費用の軽減や制度面での支援など、公的な後押しも欠かせない。

 海藻養殖が持つ環境価値を社会に示し、脱炭素に貢献する取り組みとして評価される意義は大きい。こうした社会的価値の発信が、産地のブランド力向上や需要喚起につながっていくかが今後の焦点となる。

[みなと新聞2026年4月23日17時50分配信]
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/

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