みなと新聞

【みなと新聞】養殖の成長産業化特集 25年度水産白書を決定

2026.06.22

 政府は5日、2025年度「水産白書」を閣議決定した。「養殖業の成長産業化に向けた対応」の特集では、世界で生産が頭打ちとなっている海面漁業と比べ、養殖の成長が著しく今後も伸びしろがあることを強調。今後の技術開発の課題や展望などを整理した。その他トピックスとしては、同年に始まった漁業共済の機能強化、近代捕鯨の歴史、違法・無報告・無規制(IUU)漁業対策、水産業の担い手確保の4題を扱った。

 養殖は「気候変動に比較的対応でき安定的供給に必要なこと、輸出拡大を安定的にできること」(水産庁)から特集した。2000年以降、世界の海面漁業生産量が年8000万トン前後で頭打ちになっているのと比べ、海面と内水面の養殖で倍以上に増えていること、特にコイ・フナ類や海藻類の伸びが著しいことを示した。

 養殖技術立国の確立を掲げ、国内の養殖の成長に向けた課題と対策を列挙。海水温上昇の影響と考えられるカキ・ホタテなどのへい死を受けた支援政策のパッケージ化▽魚類養殖の飼料の輸入魚粉への依存度が高さを受けた昆虫・微細藻類など代替餌の研究▽赤潮のモニタリング強化や赤潮被害を受けづらい沖合養殖場への転換▽病気への抵抗性や成長効率の高い品種の育成▽栄養価の高い仔稚魚餌料(カイアシ類)の開発▽クロマグロなどの輸出拡大―などを紹介した。

 ウナギ養殖にも言及。東アジア諸国で池入れ量制限を開始していること、水産流通適正化法の対象とし稚魚流通の透明化・密漁防止を図っていること、天然の稚魚に依存しない人工種苗の実装を進めていることなどを強調した。陸上養殖については、ゲノム編集をはじめとする技術・ノウハウの蓄積を進めていることなどを記した。

 トピックスとその概況は次の通り。

 〈漁業共済〉漁業者の減収補填(ほてん)を強化すべく、昨年、複数の漁業種でまとめて契約できるようになる、養殖の網いけす単位での共済金支払いを可能とする特約など制度改正があった▽〈近代捕鯨〉明治から昭和初期に技術が発展し、戦後の食糧不足解消に寄与。国際捕鯨委員会(IWC)での反捕鯨国の台頭と機能不全を受け、日本としてIWCを脱退し、資源豊富な鯨種への商業捕獲を再開している▽〈IUU漁業対策〉国際的な漁業管理機関での合法/違法漁船のリスト化、漁獲証明制度や水産流通適正化法、外為法による流通規制などが進んでいる▽〈水産業の担い手確保〉水産庁として漁業就業相談会開催、インターンシップ受け入れ、漁業学校、OJT研修など支援中。外国人労働力については政府として育成就労制度をつくった。

一部データ整理

 特集以降の章では例年通り、該当年度の水産の動向を記載。国内水産物の需給と消費、資源や漁場環境、国際情勢、漁村活性化、災害復興などを扱った。全体としては文量をスリム化。「ページ数は2割減、参考にしづらいグラフや事例も減っている」(水産庁)。漁業生産量や生産額のグラフは従来1965年以降のデータで作成していたが、今回は2000年以降のみに絞って再編集。ピーク時の1980年代なども削り、近年の動向をズームアップした。

 その他、2025年度の話題として、スルメイカの漁獲枠(TAC)の増枠を行ったことや枠運用について関係者との検討を続けていること、黒潮大蛇行が終息したこと、大阪・関西万博で水産庁関係の出展を複数行ったことなども記した。

 全文は水産庁ホームページ(https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/R7/260605_1.html)で閲覧できる。

[みなと新聞2026年6月5日17時50分配信]
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/

モバイルサービスを漁具の一つに

+reC. (プラスレック)がよくわかる
資料を無料でお配りしています

資料ダウンロード

solution image
おすすめ記事