【みなと新聞】魚探情報を資源管理に活用 アクアフュージョンが構想

2021.4.6

 水産テックベンチャーのアクアフュージョン(神戸市、笹倉豊喜社長)は、魚体長や尾数を測定できる高性能魚群探知機(魚探)「AquaMagic(アクアマジック)」などの自社製品を使って得られる情報を漁場予測や資源管理に活用するプラットフォーム(PF)構想を示した。ウェブ形式で3月29日に開催した海洋計測センサ技術研究会の講演会で発表した。

 同社が描く構想では、漁業者に同魚探を使ってもらうことで体長や尾数の他、魚が集まる場所や季節・時間帯などの解析データをプラットフォームに蓄積。将来的に地域別の漁場予測をしたり資源管理につなげたりすることで、得られたデータを漁業者に還元する構想だ。笹倉社長は「お金になる(高単価の)魚を狙って獲る“選択漁業”が可能になる」と漁業者の収入向上を見込む。

 アクアマジックは超音波の連続送信で魚単体を識別するのが特徴。同魚探は初期費用で20万円が必要だが、月額1万5000円(税抜き)と手ごろな価格設定で漁業者への普及を図る。その他、同社は定置網漁業向けに遠隔端末で入網状況が分かる「MagicBuoy(マジックブイ)」、養殖向けにはイケス内の育成状況が分かる「MagicMonitor(マジックモニター)」を開発する。

 講演会で笹倉社長は漁業者への普及に向け「導入のメリットや漁業者から賛同を得られるような2~3年後の将来像を描くことができなければ意味がない」との認識を示した上で、同社製品を使って得られた魚体長や魚群の密度、漁場、季節、時間帯、水温などの情報を分析して漁業に役立てるPF構想を提唱した。

プラットフォーム(PF)構想で描くシナリオ

 構想では県水試や漁協、漁業者らでつくるデータセンターを設立し、2年目までに複数の船からデータを収集。魚種や海域別の漁獲量マップや現存量マップを作成し、漁協や都道府県単位で地域漁獲可能量(TAC)の設定を可能にする。3年目以降には人工知能(AI)による漁場予測を実現。県水試や漁協、漁業者らでつくる「資源管理委員会」を設立し、毎月得られる情報を基に資源管理による資源の安定化、経営の安定化を目指す。

 同社によると、魚群の密度や魚体長を把握できるため、将来的には魚群の総重量も量ることができるようになるという。漁船の操業状況や定置網の入網状況、養殖の在庫などをリアルタイムで見える化できるようにすることで、水揚げ前に入札や集荷の手配が可能になるなど流通分野への情報提供も可能になるとした。

[みなと新聞2021年04月06日18時20分配信]
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