みなと新聞

【みなと新聞】北海道秋サケ出遅れ挽回に期待 水揚げ伸びず4割減2万4000トン『北海道秋サケ特集』

2023.10.06

漁期後半の水揚げに期待がかかる(石狩湾漁協石狩本所の水揚げ)

 北海道の秋サケ漁が盛漁期を迎えている。3日現在の累計漁獲量は2万4197トンと前年同期比37%減。漁期前半を終えたが、不漁だった2019年から21年を下回るペースとなっている。ただ近年高止まりが続いてきたイクラや親製品は昨年の供給回復と、今年の輸入増加を見越して、市況は下方修正され、生鮮需要が好調で推移する。中国政府が取った日本産水産物の禁輸措置などで海外市場は不透明感が漂い、今年は国内販売の再構築を図りたいところ。北海道漁連に今期の展望を聞いた他、大手量販店、市場や商社、漁協・メーカーの取り組みにスポットを当てた。

 道立総合研究機構さけます・内水面水産試験場の今年の秋サケ来遊予測(沿岸漁獲と河川捕獲の合計)は前年比4%増の3483万尾。昨年は7年ぶりに3000万尾台を回復し、今年も同水準の予測となっている。

2023年北海道秋サケ漁獲実績(9月20日現在)

北海道秋サケ海区別沿岸漁獲実績推移

 道漁連では、河川遡上(そじょう)と混獲などを除く2890万尾を昨年の平均目回り(2・8キロ)で換算し、漁獲量を昨年並みの約8万トンと想定する。昨年は前年比6割増の7万9000トン(道漁連集計)で、2019~21年の5万トン以下の歴史的な不漁を脱したと思われた。

 しかし今漁期は前半戦を終え、水揚げは前年を下回る。9月末時点で2万トンと、19~21年を下回るペース。出遅れの要因は、道東海域の表面水温で平年より3~5度も高い、海水温の高さを挙げる声が多い。

 異例の残暑が続いた北海道も朝晩の気温が下がり9月下旬以降になると、日量1000~2000トン、日曜休漁明けは2000~3000トンと水揚げは徐々に増えつつある。ただ昨年は9月下旬から10月上旬に日量2000~3000トン、休漁明けは4000トン前後の水揚げが続いており、前年差を縮めていくのは容易ではない。

 道連合海区漁業調整委員会によると、9月20日現在の秋サケ沿岸漁獲尾数は前年同期比37%減の285万4165尾。旬計は9月上旬(1~10日)は前年同期比3割減だったが、中旬(11~20日)は同4割減の184万2986尾と前年との差は広がる。海区別では日本海、えりも以西が前年同期比7~8割減と落ち込みが大きく、オホーツク、根室も伸び悩む。えりも以東だけが前年を若干上回る。

冷静な相場展開 雌B品3~4割安1000~900円

 浜相場は昨年の漁獲回復で、イクラや親製品の在庫が存在し、雌を主体に下方修正されている。10月初旬の全道大相場は、雌B品で前年同期比3~4割安のキロ1000~900円。雄の銀毛で前年並みの550~400円。

秋サケ水揚げ推移

道産秋サケ処理配分の推移

 昨年は当初の不漁予測やイクラなどの製品在庫がなかったため、加工業者の買いが強く、9月下旬まで高値で推移。10月に入っての集中水揚げで一気に相場が下落した。

 盛漁期10月の漁模様と産地市況の動向が注目される。

[みなと新聞2023年10月4日18時20分配信]
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/

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