みなと新聞

【みなと新聞】藻場、海業拡充の提言採択 東京で全国漁港漁場大会

2024.10.28

 全国漁港漁場協会(高吉晋吾会長)は24日、東京都千代田区の東京国際フォーラムで第73回全国漁港漁場大会を開き、前回から「藻場の保全」と「海業の全国展開」を特に拡充した提言を採択した。協会・関係者らは同日中に来年度の予算獲得に向けて政府や国会などへ要請行動を開始した。

 提言案は鳥取県港湾・漁港協会会長で境港市長の伊達憲太郎氏が説明。①漁港機能の再編・強化と養殖拠点の形成による水産業の成長産業化②海洋環境の変化に対応した漁場整備や藻場の保全による生産力の強化③漁港・漁村・海岸の強靭(きょうじん)化と長寿命化による安全・安心の確保④海業の全国展開の推進による水産業と漁村の持続的な発展―とした。

 続く事例発表では、提言案に即した成功例を全国の3者が報告。宮城県気仙沼市の菅原茂市長は東日本大震災からの復興で自動閉鎖の防潮堤や衛生管理型の魚市場、水産加工団地などを整備した他、「復興のその先」をテーマに、水産業の不確実性の中での成長産業化には「海の見える化」が必要としてデジタル水産業の推進に取り組んでいる。

 兵庫県農林水産部水産漁港課の山下正晶課長は、播磨灘における漁場整備事例を紹介。地元の石材を使った魚礁の整備効果で、増殖場周辺の1経営体あたり漁獲を約5%増やすことができた。窒素の不足による貧栄養化に対しては海底耕うんやため池のかいぼり(池干し)などを実施し、海底への有機肥料散布では海藻やゴカイ・ナマコなどの増加が確認できている。

 丸徳水産(長崎県対馬市、犬束徳弘代表取締役)の犬束ゆかり専務は、あえて負の要素を隠さない海業の事例を紹介。食害魚の活用のみならず、磯焼けや地域に多く流れ着く海洋プラスチックごみの見学をツアーに取り入れ、企業研修や学校教育にも活用されている。

 事例紹介を受けて満場一致で採択した提言は、重茂漁協女性部(岩手県宮古市)の中村菜摘氏が朗読。協会や関係者らは来年度の水産基盤整備事業予算の満額確保に向け、当日中に舞立昇治農林水産大臣政務官や水産庁の森健長官らへ提言書を持参し、要請行動を実施した。

 大会には舞立氏の他、参議院農林水産委員会の滝波宏文委員長、漁港漁場漁村整備促進議員連盟の山本順三幹事長、JF全漁連の坂本雅信会長、大日本水産会の枝元真徹会長、水産庁職員、漁港漁場関係団体の代表らが出席。自民党の石破茂総裁・水産総合調査会長からは祝電が送られた。

 会場には1300人近くの関係者が参加し、ロビーには漁港整備関係企業のブースが並んだ。大会の最後には次回大会を来年10月に開催する山口県の漁港漁場協会会長理事で下関市長の前田晋太郎氏が登壇し県の水産業や漁港漁場について紹介した。

[みなと新聞2024年10月25日18時10分配信]
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/

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