みなと新聞

【みなと新聞】人工岩礁設置し資源回復 米カリフォルニア州、資源量4年で3倍

2026.01.05

 米カリフォルニア州南部のパロス・ベルデス半島沖で化学薬品などで汚染された海域の生態系を回復させるプロジェクトが行われ、人工岩礁設置からわずか4年で魚のバイオマス(資源)量が2・7倍に回復したとの報告が上がっている。国家海洋漁業局(NMFS)がこのほど、ウェブサイトで取り組みを紹介。「プロジェクトは科学者たちも予想してなかった形で実を結んでいる」と評価した。

 パロス・ベルデス棚東側では20世紀半ば、汚水排出や地滑りによって海藻群の大部分が消滅。海岸から見えるほど豊かだったジャイアントケルプ(オオウキモ)群も1960年代までにほぼ姿を消していた。回復努力によって一部の海域ではケルプが徐々に回復したものの、多くの天然礁は堆積物により埋没したままの状態にあり、さらに化学物質のDDTやPCB汚染の影響も深刻だった。

 2001年には米海洋大気庁(NOAA)をはじめとする連邦や州政府機関が当事者と和解し、汚染された天然資源の回復プロジェクトを開始。何年にも及ぶ研究や地域の意見を基に岩礁を設計し、20年には30エーカーを超える海底に7万トン以上の岩石を配置して近隣の健全な天然礁構造を模造した。

 天然礁は魚の隠れ家を創出し、同時に沈殿物の流動性も維持。また、今後の地滑りによる再埋没を防ぎ、魚を汚染された沈殿物から遠ざけるよう十分な高さに構築した。

 建設から4年後の24年のモニタリング報告によると、生物総重量が岩礁設置前の水準と比べて12倍に増加。岩礁全体では魚の生物量が2・7倍に増え、重量ベースで4トン近い魚が生態系に加入していた。また岩礁から30メートルの範囲では魚のバイオマスが2倍以上に回復した。

 さらに沈殿物が流動したことで、埋没していた天然岩礁が1エーカー分露出し、実質的な生息域が拡大。新構造物には外来種の藻類や無脊椎動物などが定着する懸念もあったが外来種は見られず、在来のケルプやサンゴ藻などが生息していた。

 NMFSは「この不毛の海底から生命があふれる生息地への変貌は単に地域的な成功事例ではない。生息地回復が海洋生態系をいかに再生させるかを示す実証例だ」と紹介している。

[みなと新聞2025年12月23日17時50分配信]
https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/

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